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2020/05/30

大八車

昨日、某ブランドのデザイナーさんと話をした時のこと。

そのデザイナーさんは1回の展示会に対して40型を製品化するそうだ。色や柄のバリエーション×複数型で40種類じゃなくてそれぞれ別個の型で40型。

年2回で80型でしょ?とてつもない数だと思った。鞄だけで40型。天才とは数であるという言葉を昔どこかで聞いたが、すごい人はいるのだなあと。没にするものを考えると最低でも数百個は試作品を作っているはず。どういう作りをしているのか知らないが、社内で分業体制にしても信じられないハイペースだ。

一方の私。年間で新しいものを作るのは数型程度。スポーツカーと大八車くらい違う。しかも一度作ったものは継続させるか後継モデルでアップグレードさせてずっと続けるスタイル。ま、自分が飽きたり他所から要らんと言われればそりゃ作りませんけどね…。

私はそのデザイナーさんに対して率直にすごいと思ったけれども、同時にそれはラインナップのためのバリエーションになってはいないのかな?とも思った。作りたいものがあって結果としてのバリエーションではなくて、バリエーションを揃えるためにアイデア出しと製品化作業になっていたらこれは辛いでしょうなあ。でも、自分が食べていく事、ましてや人を食べさせていく責任感ってそういうことなのかしら。

ボンクラにはよく分からんが、私は私のやれる範囲でやれることをやるしかないし多分(というか絶対に)そういう方向には行かない。楽しくないもん。労働の対価としてというならもっと割のいい仕事が世の中にはいくらでもある。

それに、こんな木や草に囲まれた場所で次シーズンのトレンドだの今年の流行だの言っても全く説得力がないでしょう?

誰がそんな話を聞くんだ?キツネか?タヌキか?

心の中のマイク・ラヴが言った気がした。

劇遅だけど、大八車だからなにせ荷物は載る。頑丈だしね。何ならそのスポーツカーでこの大八車を引いてくれるってのはどうだい?と一瞬思ったが、電話が切れた後だった。

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