先日、久しぶりに某氏から電話をもらった。
その前の昨年9月にその某氏からの急な依頼に応じて結構な数の商品を作ったことがあった。売上が立ってからで支払いは構わないし、条件も一任するのでがんばってくださいとお伝えした。独立して間もなく、なんの後ろ盾も信用もない彼への私なりのエールだった。
すべての作業をストップして期日前に仕上げて指示を待っていると、彼からは何の連絡もなかった。
それ以前からやり取りをする間に、何度となく彼の気まぐれや思いつきに振り回されることはあったが、これが彼に対する評価の決定打になった。
それから半年。
久しぶりに電話で話すと、その時のことは彼の中ではまったくなかったことになっているらしかった。こんな案件を抱えているのだけれど、どうにかできないものか?というのがコンタクトの理由だった。自分はその分野についてはよく分からないのでお役に立てず申し訳ない。他に適任者を探した方がいいでしょうと話をして切った。
私はむしろ感心してしまった。私だったらそんな不義理をした相手には二度と連絡ができないだろうから。
嫌味でも批判でもなく、目的に一直線に突き進む部分は彼の大きな強みだと思う。私にはそういう要素が大いに欠落しているので、そんな彼の強さをちょっと羨ましく思ったりする。同時に、他人への想像力の欠如が周囲と軋轢を生み、彼の過去におけるキャリアに大きな汚点が付いたことも当然の帰結だったのだとも思う。
成功してほしいという気持ちは偽りのない私の本音だ。でも、私には彼の行く先に待っているものがかなりはっきりと見える。これはキン肉マンにおいて、2000万パワーズが最後の力を振り絞ってヘル・ミッショネルズにロングホーントレインで猛突進していくのを見る感覚に近い。
一矢報いてほしいと心から応援しているんだけどね。
京急のような加速感で列車は走っていくが…。
その先って谷底なんじゃないの?