Blog

2021

去年はとにかく陰鬱な年だった。

1年の始まりをこんな風に書き出すのは少々気が引けるが、それくらい悪夢のような年だった。本当にひどい年だった。

体調を崩したり、変調をきたす人が私の周りでは多かった。元々の小さな綻びがコロナによって直接的、もしくは玉突き的にストレスになったであろうことは想像に難くない。

私がこの業界に入って13年。大波小波は常々あったけれども、その間に2008年のリーマンショック、2011年の大震災があった。2008年のリーマンショックの時には仕事が空いてしまってしばらく倉庫の整理をしていた記憶がある。地震では輪番停電で電気が使えないからと、工場の薪ストーブでレトルト食品を温めて食べた。そして2020のコロナ。

考えてみると、オリンピックと同じような頻度で商環境を根底から揺るがすような津波が襲ってきているわけだが、とりわけ今回のは強烈だ。なにせ問題とその広まりが人間が社会生活を送ることそのものにあるのだから。

幸い、会社はその影響を現時点ではそこまで深刻に受けずには済んでいる。それは、過去の経験からのリスク管理や善後策という自助努力の面もいくらかはあったとは思うけれども、単純に「運が良かった」という点に尽きるだろう。なにせコロナというもののリスクを私は全く想定していなかったのだから。

そしてその運をもたらしてくれたのは人だ。

歳を重ね、家庭を持ち、私の考え方も若い頃からだいぶ変わったけれども、とりわけ色んな人に助けてもらっているんだなという意識は強くなりました。どうにかこうにか昨年を乗り切れたのは、何よりもお客さん。取引先の方のご厚情。そしてうちの優秀な社員のおかげです。本当にありがとうございました。昨年は何度も今日の仕事が途切れなかった事に布団の中で安堵のため息を漏らしました。

私は強運だと思う。

もう10年以上も前に高名な占い師に診てもらった事がある。私は知人の運転手として冷やかしに行っただけで、診てもらう気はなかった。占いに完全に否定的な立場…というわけではない。手相にしろ人相にしろ、膨大なデータから帰納的に法則を探し出してそれを体系化しているのだから当たる点は多いだろう。でも、その実証性の検証について私はよく知らない。いい悪いの解釈だって易者の見方で変わる。やはり当たるも八卦当たらぬも八卦ってところだ。それでもプロがコールド・リーディングをどう巧妙にやるのか興味はあるところだ、という軽薄な理由から買って出た運転手だった。

ところが、付き合ってもらったお礼に金は払ってやるからついでにお前も診てもらえと言われたので二つ返事で診てもらった。はい!私、昔からこういうのに興味あったんです!

占い師は言った。

「あなたにはこの世の中の富という富が全部集まってくる。徳川家康はこの名前になるまで3回改名したが、あなたは生まれながらにして同じ画数だ」

いや、ちょっと待った。家康は名前で21画だが私は苗字込みで21画。それを同じにしていいのか?苗字と名前で21画なんてそこら中にいるじゃん。そういう場合、富の分配はどうなるのか?とは言えなかった。まあV系バンドの人は姓名判断は名前だけだろうから(知らんけど)そういうノリなんだろう、多分。

帰り道。いい加減な話だよなー、などと嘯きながら心は明らかに昂っていた。フヒヒ、将来は大金持ちだって。この世の中の富という富が全部集まってくるって。そんなわけないじゃん。フヒヒ。

人間はお金が入ってくる話にはどうしてこういやらしく、そしてどこまでも素直な笑いになるんだろう。

現在のところ富が集まる気配は皆無ですが、周りの人のおかげでどうにかこうにか生きられております。金運はともかく、人の運はやっぱりいいんでしょう。でも、そのうち超大金持ちになってピエールという名前のカミツキガメの背中に乗る予定ぶぁい。

今年は一人でも多くの人が健康で過ごせる年になってほしいと思います。いや、本当にそうであってほしいよ。

 

Archives

Select